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桐鳳凰図・東京国立博物館 [美術館・博物館]

今年のお正月に東博を訪ねたときのことです。

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(ゆりのきちゃん(右)とトーハク君。流行のゆるキャラ?)


本館入り口横に、迎春用の大きな垂れ幕がかかっていました。

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そういえば、去年もかかっていました。

110112tohaku02.jpg


右側は、去年のものは光琳の風神雷神図から雷神、
今年のものは菱川師宣の見返り美人図。
誰でも知っている文化財といえますね。

しかし左側は、去年も今年も同じものなのに、私の知らない作品です。
江戸時代の画の一部かしらとぼーっと見ていたのですが、
あら?そういえば、
風神雷神や、見返り美人図と並ぶということは、同じくらい有名な図なのかしら?
もしかして、若冲だったり?!・・・
と近づいて見上げたものの、違います。

さあ、気になりました!

帰宅して東博のホームページを見ました。
でも、何も載っていません。
あたりをつけて過去の展覧会のカタログをめくっても、それらしきものは発見できません。
たぶん江戸時代の、きっと有名な画だと予想したのに、
わからないのが情けなくて・・・

すみません、どうしても気になって、お電話で問い合わせてしまいました。

なんと!

「友禅染掛幅 桐鳳凰図」

江戸時代(19世紀)の作者不詳の友禅染でした。


東博ホームページの「調査研究」→「画像検索」で、
半角で「I-42」を検索すると画像が出てきます。
(そちらでの作品名は、
「桐に鳳凰図友禅染掛幅」
になっています)


そして、この実物が今年の2/26まで本館10室にて展示中、と教えて頂いたので、
見に行ってきました。

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写真は不出来ですが、実物はものすごく精緻で目を見張るものです。

地を踏みつけ力強く振り向く鳳凰の、落ち着いた中にも鋭さの宿る気品、
印象的な長い尾羽の弾む様な存在感、
対照的に尾のつけ根からふわふわと風になびいて踊り出る細い羽根の柔らかい優しさ、
それら総てが、ガラス越しでも見てとれる極微で繊細な筆遣いで描き込まれています。
さして大きくない掛幅ですが、背後の桐の葉や花、余白まで魅力的で、
物凄い勢いで心を掴み取られました。

技法については、私には語れる素養がありませんから、
染織なのにとか、染織だからとかは、言えません。
そんなことは関係なく、凄く好きになりました。
(表装含めて総て友禅染だそうです)


ちょっとした興味から問い合わせたことでしたが、
心ひかれるものとの出会いは、とてもとても幸せでした。
お伝えするには力もないこの場ですが、
あらためて、お礼を申しあげます。

次に展示されるのがいつなのかわかりませんが、
再会を心待ちにしています。



なお、垂れ幕を見て、最初に若冲かも?と思ったのは、
鳳凰図で有名なことももちろんですが、
皇室の名宝展(2009年東博)の「紫陽花双鶏図」や、
対決!巨匠たちの日本美術展(2008年東博)の「仙人掌群鶏図襖」に、
印象の似た、片足で地を踏みつけ下から睨み上げ、尾を跳ね上げた図があったので、
それらが記憶のどこかに残っていたせいなのかもしれません。
どちらも鶏ですが。

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