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手塚治虫のブッダ展 [美術館・博物館]

東京国立博物館
「手塚治虫のブッダ展」
会期:2011.4.26(火)~6.26(日)
訪ねた日:2011.6.3
書いた日:2011.6.3


ブッダ展の前にこちらを・・・。

110603th.jpg


東博、門を入ってすぐの、池の手前に設置されていました。
「文化財レスキュー義援金」募金箱。
「東日本大震災により被害を受けた文化財の救援と修復活動」
と書かれているので、我が意を得たりと募金してきました。
今日明日は勿論、この先の人生に途方に暮れた方が大勢悩まれている時に、
古い建物だの何かの絵だの像だの茶碗だの、誰かの昔の手紙だの本だのが、
一体どんな意味を持つのだ!・・・とは思うのですが、
気になっていました。
ずっと。
確実に文化財救援にお役に立つのならば、
喜んで寄付しない選択はありません。

が、ちょっとこれ・・・寄った写真しか撮ってこなかったので解りにくいですが、
アクリル?の全面透明な募金箱、しかもお金と比較して頂ければわかる様に、
かなり大きなゴミ箱の様に四角いものが、
門を入ってすぐ、つまり露天にドーンと置かれているのです。
有体に言えば、お日様の下で、スケスケのでっかい箱にお金が丸見え。
いたずらに泥棒心を刺激しないかしらと余計な心配とともに、
(門の側で常時係の方がいますし人目もあるので実際は大丈夫と思いますが)
日本人の奥ゆかしい感覚と少しずれている様な感じもしました。
・・・そんなことを感じるのは感性が古いだけかもしれませんけれど。



さて、本題のブッダ展ですが、私は手塚治虫の漫画は好きではありません。
世界観や内容の素晴らしいこととは別に、絵が好きではないというだけですが。
漫画やアニメも仏像と並んで趣味のひとつなのですが、
それだけに、絵が受け入れられないことは、内容がどれほど素晴らしくても、
好きになれないのです。
それでも、この展示を見に行ったのは、深大寺の釈迦如来倚像が来ているから。
(展示目録では「伝釈迦仏倚像」)

昨秋地元の博物館にお出ましの時に見に行った感想は こちら ですが、
その時は跪いて見上げていたお顔、今回はそのまま素直に見上げる高さです。
LEDの工夫された照明のお陰か、ほのほのと明るくにこやか。
ご機嫌良く座っていらっしゃる。
一体何をご覧になっているのかと、如来像の視線を追えば、
対面に展示された南北朝時代の出山釈迦立像が、肋骨を浮き立たせた苦行姿で、
よろよろと今にもこちらによろけて歩き出して来そうに立っています。
ご自分の迷走していた頃の姿を微笑ましく見つめていたのですね。

そう思って横へまわろうとすると、けれど、斜め前方からの表情は、
無関心にやる気を失った、寂しいものだったりします。
この像の不思議に心を惹くのはこういうところ。
ひとつに定まらない表情を持つところです。
真横に立てば、そのお顔は最も尊厳高く、もう、何ものにも捕らわれることのない、
絶対の悟りを、私の様な信仰心のない者にも垣間見せてくれます。

今回は昭和七年吉田包春作の春日厨子も一緒に来ています。
控えめながら気持ちのこめられた、丁寧な作りであることが、
天井や鳳凰の色絵や金具の毛彫りなどからも伝わってきます。
覗き込めば台座も見えますので、是非。
お寺ではどうしても良く見えないので・・・。


その他展示は、手塚治虫の「ブッダ」の原画と、
それを説明する仏教美術の遺品が交互に展示されている、と言えば、
わかりやすいでしょうか。
東博所蔵品を中心に、日本のものとガンダーラ仏が多く、
他はカンボジアの砂岩の仏坐像が他と印象が違っていて目をひきました。
漫画と仏教美術が並んでいて、ほとんど違和感なく思えたのは、
好きではないとはいえ、手塚治虫の作品が素晴らしいものだからなのでしょうね。
仏伝がわかりやすそうだったことに加えて、
架空の登場人物を多く登場させることで、仏陀の時代と仏陀の生き様を描きたかった、という、
手塚氏の言葉を読んで、アニメは見てみたいなと思いました。
・・・XJapanの歌も大好きですし。


ところでこの展示会場は、特別五室。
本館を入って正面階段の裏にあたる、そんなに広くはない一室です。
高い天井と、二階にあたる部分には壁面に沿って小ぶりの回廊がまわっています。
その高い壁面に、緑の葉影の揺れる演出がされていました。
回廊の欄干に隠した観葉植物の下から照明を当てて、
壁面に葉の影だけをゆらゆらと大きく映しているのです。
その光も青みが強くなったり、黄味がかったりと変化している様でした。
見たことのない2500年前の仏陀の時代・国の雰囲気と、
この時代この国の「ブッダ」という漫画の雰囲気と、
双方をとても良く表しているようで、心地良い演出でした。

展示品に集中していれば気づかないでしょうに、
仕組みを確認しようと天井ばかり見上げてうろうろして、
少し不審者に見えたかもしれないと反省しつつ、
訪ねた方には是非、気づいていただきたいので蛇足ですが書いておきます。
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コメント 4

★ASA☆

「ブッダ」は、僕が仏教に興味を持って最初に読んだ本ですね。
とっかかりには丁度いい感じで、結構面白かったです^^
手塚さんの絵は好みが分かれる所ですよね(笑)

by ★ASA☆ (2011-06-05 00:14) 

まるさ

♪ ★ASA☆さん、世界の?手塚を好まないなど、
失礼かつ物がわかっていないとも思うのですが、
好みはしょうがないです・・・よね(^^;
でも本当に、内容は面白そうでした。
漫画家でも小説家でも表現者さんは凄いと思います。
1つの作品を描くのに、いったいどれほどの知識を吸収なさっているのか・・・。
by まるさ (2011-06-06 16:32) 

adansonian

はじめまして。アメリカ在住なのですが、手塚作品は英語版も売られています。ブッダは子どものころから大好きだったので、こないだ英語版を全巻そろえました。レビューを書きましたのでよろしければ。

http://adansonian.blogspot.com/2011/06/buddha.html

外国人も「面白い」と数日で読み終えていました。偉大です。ちなみにブラックジャックも買いました。
by adansonian (2011-06-30 06:11) 

まるさ

♪ adansonianさん、はじめまして、コメントありがとうございます。
手塚作品は外国の方にも面白いのですね。
英語版がどんな感じなのか、興味があります。
ブッダがお好きでしたら、上記展覧会はとても興味深いものだったと思います。
手塚さんが、何を見て、何を資料に作品を構成したか、
それを想像できる内容でした。
by まるさ (2011-07-01 22:06) 

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