阿修羅像梱包ケース [美術館・博物館]
東京国立博物館(平成館)
「文化財保護法制定60周年関連事業 特集陳列 東京国立博物館コレクションの保存と修理」
会期:2010.3.16(火)~5.9(日)//阿修羅像梱包ケースは3.28まで。
訪ねた日:2010.3.17および19
描いた日:2010.3.19
「文化財保護法制定60周年関連事業 特集陳列 東京国立博物館コレクションの保存と修理」
会期:2010.3.16(火)~5.9(日)//阿修羅像梱包ケースは3.28まで。
訪ねた日:2010.3.17および19
描いた日:2010.3.19
東京国立博物館の平成館一階に、企画展示室という小さな部屋があります。
特別展を見てから外へ出ずに直接回廊を通って本館へ行こうとすると、
通路右側、ビデオ上映などしているガイダンスルームの先に、
ちょっとしたコーナーのように設置された部屋です。
平成館の出入り口を使っている人は、なかなか足を向けることも少ないかもしれませんが、
ここでは意外に興味深い展示をしていることが多いので、ひそかにおすすめです。
長谷川等伯展を見たあと、いつものようにこの部屋へ。
「コレクションの保存と修理」というテーマで、画や陶器、発掘品などの、
修理前の写真やパネルと、修理後の実物が展示されていたのですが、
ふと、部屋の奥を見ると、こんなものが。
(以下、写真は撮影・ブログ掲載とも構わない旨確認済。詳細後述※)
何でしょうねー、修理のための器械の展示かな?くらいの気持ちで近づいて、
パネルを見てびっくり。
「阿修羅像梱包ケース」
う、うわっ!
2009年春の阿修羅展で、像の運搬に使った梱包ケースではありませんか!
ここにあの像がひっそり立っていた・・・
そう思うと思わぬ感動が溢れてきます。
全体像アップ。
この下の真ん中の台に足が乗っていたのですね・・・思わずうっとり眺めてしまいます。
わかりやすく言えば、スターのステージ衣装がいきなり目の前に展示された感じ。
ファンでなければ何てことのないものでも、往年のファンにとっては感涙にむせび泣く、
まさにそれと同じです。
好きになるって、こんなことですよね。
上半身部分。
アクリル板(に見える)ものでおおわれています。
何と言っても一番感動した、腕を支えるための金具。
ここにあの腕が、そっと支えられて旅をしたのですね・・・
愛しくてたまらなくなってきます。
そういえば、かつては仏像の運搬は包帯などでぐるぐる巻きにしたものを、
最近ではその方法だとかえって傷むため、本体にはなるべく手を触れないと、
どこかで読んだ記憶があります。
運搬までの様子がパネルに書かれていたので、見難いかもしれませんが、
一気にのせてみます。
解説中にある、アイソレーターとは、箱の下に取り付けられた、これ。
太いバネ?これでショックを軽減できるのかあ・・・
完全文系の私には、およそ想像がつきません。
夢紫五色掲示板に、少し前に、
「(仏像をよそで展示する場合は)
粛々とした敬意をもっての請来、行き届いた心配りでの展示であってほしい」
などと書いていたのですが、そんな小賢しい理屈だけは語れても、
それを実現するためには、こんなにも、私のまったく知らない専門の知識と技術、
そして試行錯誤が必要だと、
まるで思い至っていなかったことに気づきました。
まったくもって恥ずかしいことでした。
お仕事をなさったすべての方に、深い敬意をもって頭を下げさせてください。
※東博では、平常展で写真撮影禁止表示の出ている以外のものであれば撮影は構わないそうです。
個人のものであればブログへの掲載も問題ないとのこと。
今回の阿修羅像梱包ケースに関しても、展示物・パネルとも、特に確認して、
ブログ掲載構わない旨お返事いただきました。
(本館一階インフォメーションにて)
2010-03-19 14:45
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コメント(4)
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こんな裏側を見せてくれる所があるんですね!
こういうのを見れるのって、なんだか嬉しいですよね^^
by ★ASA☆ (2010-03-19 21:22)
♪ ★ASA☆さん、そうなんです、考えてみたら、
阿修羅はいつでも興福寺行けば見られますが、
梱包ケースは今後一生見る機会はないかもしれない、
と思うと、貴重な対面に更に感動が深まります!
・・・ただの箱なんですけどねっ(^^;(笑)
by まるさ (2010-03-20 00:28)
昨春、NHKの「プロフェッショナル」で、
この梱包・輸送の様子を放送していたのを見ました。
海老名和明さんという方で、
仏像の梱包・輸送といえばこの方!というくらい、
すごい方のようです。
…ということは、私達が、博物館などで見ている仏像などは、ほとんど、この方が運び方を考えているのかも……
ホント、すごいですねー。
その実物が展示してある、と聞くとワクワクします。
なかなか、梱包ケースの展示なんてないですものね。
が、28日まででは、見には行けなさそうです…。
残念。
by kom (2010-03-27 00:51)
♪ komさん、日通の方ですよね!
その番組は見ていないのですけれど、
梱包ケースを検索していてお名前拝見しました。
本当にすごい方のようですね。
梱包ケース、実物のもつ力は、やはり重みがありましたよ!
なんというか・・・私が仏像が好き!というのとは、
まるで違う、いってみれば理系の頭で、
実際の仏像を守るお仕事をされている方々がいるのだと、
あらためて実感もできますし。
東博の講演会でも阿修羅の運搬のことが含まれたそうですから、
もしかしたら、また何かの機会に展示されることもあるかもしれない・・・
あってほしいと願っています。
ちょっと期間短かすぎですよね・・・。
(むしろ、この講演を聴かれた方のための一時的な展示だったのかも?)
by まるさ (2010-03-27 01:38)