山種美術館への道 [美術館のある街]
2009年秋、移転新開館なった山種美術館。
その開館記念特別展その2に行ってきましたが、まず到着するまでの道のりを、
ここは是非、書きたくなるのです。
徒歩で行こうとすると、最寄はJR恵比寿駅。
西口を裏のほうへ出て、駒沢通り沿いを青山方向へ10分ほど行ったところです。
この界隈、15年ほど前にガーデンプレイスが出来た頃から、
お洒落なお店がどっと流れ込んできましたが、
バブルの時代はまだまだごちゃごちゃした店の並ぶ雑多な街でした。
今でもその名残で、
ダーツ・ダイニングやらネイルサロンやら隠れ家的ビストロなどの洒落たお店の合間に点々と、
昔ながらの履物屋さんとか、カゴに野菜を山盛りにして売ってる八百屋さんとか、
着物も色あせ着崩れしたままのマネキンがほこりをかぶって立てかけてある呉服屋さん等、
昭和も中ごろの雰囲気を色濃くかもし出すお店が残っています。
とても懐かしくて、街をただゆっくり歩くだけでも、不思議な面白さ。
バブル崩壊がもう少し遅れていたら、これらのお店も開発の魔手に飲み込まれていたかと思うと、
残ってよかったと思うのは、部外者の勝手な郷愁でしょうか。
そんな街並みを楽しみながら、緩やかな坂道を上っていくのですが、
途中歩道橋を渡らせられたり、歩き慣れない道でもあって、
山種を目指す中高年は、少々疲れを感じるはずです。
その坂ももうすぐ登りきる、という時に、道沿いの建物に妙なものを発見します。
たいていの方が「目が点」という表現にぴったりな体験をするであろうものが、これ。
巨大ダビデ像・・・
トラックと比較してください、道からだと5メートル近くあるのでは。
二枚目は逆から撮ってみましたが、歩道は狭いため、いやおうなく目に入ります。
何の説明も出ていませんから、何故ここに、こんなものが、しかもこんなに巨大にあるのか、
非常に謎で、かつ、あまり見たくもないものがちょうど視線に入る位置に来ますから、
お上品に歩いてきた奥様方は、ちょっと会話に窮するかもしれないと想像すると、
心の中でくすっと笑ってしまうほどです。
ともあれ、これを見て呆然とするお陰で、歩いた疲れはふき飛びます。
ただし、お洒落なお店と昭和の郷愁にただでさえ繊細になっている心に、
このダビデ像がドーンと立ちはだかるので、頭がぐるぐる・・・
いったい自分が何をしにここを歩いているのか、
うっかり失念しそうな心元なさを感じるのが難点。
そんな時に目に入るのが、ダビデ像からすぐの交差点の向こうの、
このお店。
これまたなんとも懐かしい、食料品屋さん。
こんなところで発見するとは思わなかった、本当に古い形のお店です。
昭和の半ばに上京してきた年配の方にとっては、
地元に唯一こういうお店があって、今でいえばコンビにのように、
あれもこれも、このお店で買っていた、
そんな幼い頃の記憶を呼び覚まされるのではないでしょうか。
私の両親の出身地にも、ありました。
ほっとします。
実はこの背後に見えている綺麗な6階建ての建物が山種美術館なのですが、
たいてい、今まで書いたように内心オロオロと歩いてきたであろうおば様方が、
こちらを見つけてほっとして、一様に「山種はどこですか?」と聞いたのでしょうね、
その道の角には、こんな張り紙が・・・しかも洗濯バサミで、ちょこんと。
これも昭和な心遣いです。
新しくなった山種美術館の入り口は、もうすぐそこで、こんな感じです。
先の食料品店とこの入り口までの間には、間口1間、奥行き半間ほどの、
これまた古い八百屋さんと魚屋さんが、歩道ギリギリまで商品を並べています。
本当に、興味深い街並みです。
さて、そんなこの街、まだ私の心をひくものがあります。
恵比寿駅を出てすぐ、明治通りとの交差点での少し手前で、
本来深く切れ込んだ谷川だったのを、護岸工事でコンクリート固めにしてしまった、
無惨な都会の川を渡るのです。
水は底のほうをわずかに流れるのみ。
コンクリートの護岸は本来のくねる川の形をそのまま無理矢理覆った様で、
ミイラを思わせる冷たい不気味さです。
グーグルマップで見てみると、渋谷駅のあたりから古川橋のあたりまでは存在が確認できますが、
その前後はどうなっているのか、名前すら確認ができません。
でも、奥の右手、写真でわかりにくいのですが樹木の見えるあたりに児童公園があって、
遠目にも楽しそうに子供たちがブランコなどこいでいます。
通りすがりの赤の他人には、不気味な都会の顔でしかない、固められた川も、
この子供たちにとっては、遊び場の隣の懐かしい風景になるのだと思うと、
こう、アラ探しでもしていたようなわが心が恥ずかしくなり、
いつまでも平和であれと、大きな視点へ逃げてしまいたくなります。
この橋のすぐ脇で、この日は植樹工事も行われていました。
写真の左はしに写っている、緑の金網で囲われた、
4畳半程度の広さの場所。
なんで金網・・・なんでこんな狭いところに・・・
しかも樹木は大きいものだけでも5,6本準備されています、
小さいものは山積み状態。
密集しすぎやしないだろうか・・・謎はいっぱいだったものの、
帰りに無事植え込まれていた一本を、写真に。
この状態では私には何の樹かわかりませんが、
また次回山種美術館を訪ねる時には、芽吹いているでしょうから、
育つのを楽しみにしようと思います。
都内いろいろな美術館・博物館を訪ね歩いていますから、
それぞれの街に、なんとなく感じることはあるので、折に触れて書いてみようと思います。
でも、この、恵比寿駅を降りて山種美術館への道ほど、
心を刺激してくれる街はありません。
その開館記念特別展その2に行ってきましたが、まず到着するまでの道のりを、
ここは是非、書きたくなるのです。
徒歩で行こうとすると、最寄はJR恵比寿駅。
西口を裏のほうへ出て、駒沢通り沿いを青山方向へ10分ほど行ったところです。
この界隈、15年ほど前にガーデンプレイスが出来た頃から、
お洒落なお店がどっと流れ込んできましたが、
バブルの時代はまだまだごちゃごちゃした店の並ぶ雑多な街でした。
今でもその名残で、
ダーツ・ダイニングやらネイルサロンやら隠れ家的ビストロなどの洒落たお店の合間に点々と、
昔ながらの履物屋さんとか、カゴに野菜を山盛りにして売ってる八百屋さんとか、
着物も色あせ着崩れしたままのマネキンがほこりをかぶって立てかけてある呉服屋さん等、
昭和も中ごろの雰囲気を色濃くかもし出すお店が残っています。
とても懐かしくて、街をただゆっくり歩くだけでも、不思議な面白さ。
バブル崩壊がもう少し遅れていたら、これらのお店も開発の魔手に飲み込まれていたかと思うと、
残ってよかったと思うのは、部外者の勝手な郷愁でしょうか。
そんな街並みを楽しみながら、緩やかな坂道を上っていくのですが、
途中歩道橋を渡らせられたり、歩き慣れない道でもあって、
山種を目指す中高年は、少々疲れを感じるはずです。
その坂ももうすぐ登りきる、という時に、道沿いの建物に妙なものを発見します。
たいていの方が「目が点」という表現にぴったりな体験をするであろうものが、これ。
巨大ダビデ像・・・
トラックと比較してください、道からだと5メートル近くあるのでは。
二枚目は逆から撮ってみましたが、歩道は狭いため、いやおうなく目に入ります。
何の説明も出ていませんから、何故ここに、こんなものが、しかもこんなに巨大にあるのか、
非常に謎で、かつ、あまり見たくもないものがちょうど視線に入る位置に来ますから、
お上品に歩いてきた奥様方は、ちょっと会話に窮するかもしれないと想像すると、
心の中でくすっと笑ってしまうほどです。
ともあれ、これを見て呆然とするお陰で、歩いた疲れはふき飛びます。
ただし、お洒落なお店と昭和の郷愁にただでさえ繊細になっている心に、
このダビデ像がドーンと立ちはだかるので、頭がぐるぐる・・・
いったい自分が何をしにここを歩いているのか、
うっかり失念しそうな心元なさを感じるのが難点。
そんな時に目に入るのが、ダビデ像からすぐの交差点の向こうの、
このお店。
これまたなんとも懐かしい、食料品屋さん。
こんなところで発見するとは思わなかった、本当に古い形のお店です。
昭和の半ばに上京してきた年配の方にとっては、
地元に唯一こういうお店があって、今でいえばコンビにのように、
あれもこれも、このお店で買っていた、
そんな幼い頃の記憶を呼び覚まされるのではないでしょうか。
私の両親の出身地にも、ありました。
ほっとします。
実はこの背後に見えている綺麗な6階建ての建物が山種美術館なのですが、
たいてい、今まで書いたように内心オロオロと歩いてきたであろうおば様方が、
こちらを見つけてほっとして、一様に「山種はどこですか?」と聞いたのでしょうね、
その道の角には、こんな張り紙が・・・しかも洗濯バサミで、ちょこんと。
これも昭和な心遣いです。
新しくなった山種美術館の入り口は、もうすぐそこで、こんな感じです。
先の食料品店とこの入り口までの間には、間口1間、奥行き半間ほどの、
これまた古い八百屋さんと魚屋さんが、歩道ギリギリまで商品を並べています。
本当に、興味深い街並みです。
さて、そんなこの街、まだ私の心をひくものがあります。
恵比寿駅を出てすぐ、明治通りとの交差点での少し手前で、
本来深く切れ込んだ谷川だったのを、護岸工事でコンクリート固めにしてしまった、
無惨な都会の川を渡るのです。
水は底のほうをわずかに流れるのみ。
コンクリートの護岸は本来のくねる川の形をそのまま無理矢理覆った様で、
ミイラを思わせる冷たい不気味さです。
グーグルマップで見てみると、渋谷駅のあたりから古川橋のあたりまでは存在が確認できますが、
その前後はどうなっているのか、名前すら確認ができません。
でも、奥の右手、写真でわかりにくいのですが樹木の見えるあたりに児童公園があって、
遠目にも楽しそうに子供たちがブランコなどこいでいます。
通りすがりの赤の他人には、不気味な都会の顔でしかない、固められた川も、
この子供たちにとっては、遊び場の隣の懐かしい風景になるのだと思うと、
こう、アラ探しでもしていたようなわが心が恥ずかしくなり、
いつまでも平和であれと、大きな視点へ逃げてしまいたくなります。
この橋のすぐ脇で、この日は植樹工事も行われていました。
写真の左はしに写っている、緑の金網で囲われた、
4畳半程度の広さの場所。
なんで金網・・・なんでこんな狭いところに・・・
しかも樹木は大きいものだけでも5,6本準備されています、
小さいものは山積み状態。
密集しすぎやしないだろうか・・・謎はいっぱいだったものの、
帰りに無事植え込まれていた一本を、写真に。
この状態では私には何の樹かわかりませんが、
また次回山種美術館を訪ねる時には、芽吹いているでしょうから、
育つのを楽しみにしようと思います。
都内いろいろな美術館・博物館を訪ね歩いていますから、
それぞれの街に、なんとなく感じることはあるので、折に触れて書いてみようと思います。
でも、この、恵比寿駅を降りて山種美術館への道ほど、
心を刺激してくれる街はありません。
2010-01-15 11:14
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